M80 / M85型(2代目) ジュノオM85 1961年11月、ホンダは6年ぶりにスクーターの販売に再参入し、モデル名も以前と同じ「ジュノオ」を与えた。 「M80型」と呼ばれるモデルはエンジンに静粛性と高性能を両立させた124ccの空冷4サイクルOHV2気筒水平対向エンジンを採用 、 これを前輪直後に縦置きしトレーンレイアウトとした。 シリンダーヘッドにはタペットクリアランスを油圧で自動調整する 「ハイドロリック・ギャップアジャスター」装置を装備、OHVエンジンに発生しがちなタペットノイズを抑えエンジンの静粛性をアップさせている。 変速機には「HRDミッション」と呼ばれる、バダリーニ式の油圧式無段変速機を採用した。 これは乗り手が手動で無段階に変速を調整でき、滑らかで駆動ロスの少ない画期的な変速機であった。 1962年1月「M80型」のエンジンを169ccに拡大して搭載した「M85型」が登場、12馬力/7,600rpm、1.34kgm/5,700rpm[1]にて最高速度100km/h。 初期のスクーターブームが終焉する1968年まで販売された。M80/M85は12V電装、電磁ポンプによる燃料供給、スイングアームを兼ねた オイルバス式チェーンケース、ハンドルロック付イグニッションスイッチ等、現代のモーターサイクルに通ずる機構を数々装備していた。 2代目の総販売台数は5,880台。 ジュノオは数々の新技術を投入しながら売上面で芳しくなかったことから、当時まだ創生期のホンダにとって経営的な苦境に立たされる 原因を作ったモデルとされており、ホンダがこの後スクーターに再々参入するのは1980年にタクトを販売するまで待たされることになる。 しかし油圧式無段変速機「HRD」の技術は、その後2008年に発売されたDN-01の油圧式無段変速機「HFT」へと発展することになった。